TOP / STORY TOP(re-rendaring dawn) / SCENE 013
様々な楽器や音響機材が美しくレイアウトされているプライベートスタジオに、ひとりの男性。
オフィスチェアに腰掛けながら、虚空を見つめる。いや、アイギア越しにliv.netを見ている。
日々更新される謎のノイズメッセージ。何かのコードを横長に羅列したような、文字なのかどうかすらわからない幾何学図形の集合体。
図形…コード…ノイズ…。
ふと思い立ち、デスクトップPCの電源を入れる。スタジオ内に設置された高価なスピーカーから響くPCの起動音すら、素晴らしい音質である。
世の中のデヴァイスはほとんどアイギア、マスクデヴァイス、イヤーモニターの新時代 三種の神器に集約移行しつつあるが、彼の制作環境は、未だPCをメインに使用したものだった。慣れた環境の方が使いやすいからだ。
アイギアと連動したPCのデスクトップに、先程まで見ていたいくつかのノイズメッセージを並べる。
ノイズメッセージの上に、別のノイズメッセージを重ねる。透かし絵のように。
「これじゃない…これでもない…」
パズルのように、手当たり次第、色々と組み合わせを変えてみる。
しばらくして、彼の手が止まった。
「やっぱり…これは……音楽なのか…?」